彼らはお城の一室を借り、さっそく仕事にかかります。
王さまが役人を視察にやると、
仕立て屋たちが忙しく縫ったり切ったりしている
「バカには見えない布地」
とやらは役人の目にはまったく見えず、
彼らは手になにも持っていないように見えます。
役人はたいへん困惑しますが、
びび王さまには自分には布地が見えなかったと言えず
「仕事は順調に進んでおります」と
報告することにしました。
その後、視察にいった家来はみな「仕事は順調です」と報告します。
最後に王さまがじきじき仕事場に行くと
「バカには見えない布地」は、
王様の目にもさっぱり見えません。
びび王さまはうろたえるが、
家来たちには見えた布が自分に見えないとは言えず、
布地の出来栄えを大声で賞賛し、
周囲の家来も調子を合わせて衣装を褒める。
いよいよ、びび王さまの新しい衣装は完成した。
王様はお披露目のパレードを開催することにし、
見えてもいない衣装を身にまとい、大通りを行進する。
集まった国民も馬鹿と思われるのをはばかり、
歓呼して衣装を誉めそやします。
その中で、沿道にいた一人の小さな子供が、
「王様は裸だ! 王様は裸だよ! 」と叫び、
群衆はざわめいた。
「裸か?」「裸じゃないのか?」
ざわめきは広がり、
ついに皆が「裸だ!」「王さまは、はだかだ」と叫びだすなか、
びび王さまのパレードは続くのだった。